モントリオールにTWICEが来た。3月3日のことだ。四月から始まった私のおよそ一年の滞在の中で、新アルバムがリリースされて、ワールドツアーが発表されて、その日程にモントリオールが入っていて、滞在の終わり頃にライブがあったわけだ。まるで私のために来てくれるかのようだと、傲慢にも思った。

3月を待てなくてLAやニューヨークの公演に行っちゃったけれど、モントリオールでTWICEが見られるというのは格別な思いだった。もちろん、ここで生まれ育ったファンたちはより強い喜びを抱いたことだろう。
北米ツアーの中でもかなりマイナーな都市だし(ハミルトンはトロントから観客が来ることを前提としているし)、最も寒いであろうし(サウンドチェック時、ジヒョが「なんでこんな寒いの?」と言っていた)、フランス語圏だし、平日のたった一日ではあったけれど、それでも大盛り上がりだった。TWICEに贈られたファン制作のゲーム形式の動画が話題になったり(さすがゲーム産業に強い街だ)、どんなに地味な街でもTWICEが手を抜くなんてことはあるはずもなく、最高のライブだった。ダヒョンちゃんが来れなかったのは残念だけれど、彼女がかつてコスプレしたジーニーの格好をしたファンをTWICEが見つけて喜んでいた。
未だにTWICEがモントリオールにいたとは信じ難く、公演後、街中で撮られたジヒョとジョンヨンの写真がSNSにアップされていたが、それは何度も何度も通ったGuy-Concordiaという駅付近の写真で、それを見たとき思わず叫んだ。駅前が永遠に工事しているでお馴染みの駅で、モントリオール在住のファンたちがそれを恥じていたのが可笑しかった。他にもナヨンとモモが行ったらしい韓国系のカフェがインスタで喜びの投稿をしていた。
ライブ会場はCentre Bellという、普段はアイスホッケーの試合会場としてよく利用されているアリーナで、ダウンタウンにあるため非常にアクセスがいい。高すぎるチケットを買ってサウンドチェックから入った私は、隣にいた10歳のコロンビア人の女の子とそのお母さんがポップコーンを分けてくれたのをきっかけに、彼女たちと待機時間の間フランス語でお喋りしていた。四年前にコロンビアから越してきたらしく、フランス語はかなり流暢だった。特に子どもの柔軟性は凄いもので、もちろん私よりも遥かによく喋れる子だった。
モモが好きだというその子はライブに慣れていないのと、最前列でライブカメラ画面が見づらいのもあって途中で疲れてしまった感はあったけれど、バナーを二人で掲げてみたり、買えなかったというペンライトを貸してあげたり、お気に入りだという「What is Love?」を踊ったり、一緒に楽しんだ。ライブのみならず、そのことがとても楽しかった。彼女が望むほどのファンサはうまくもらえなかったけれど、どうかいい思い出になっていますように。何度見ても凄すぎるモモのソロは目の前で行われたし、チェヨンちゃんが手を振ってくれたよ!


ライブの一週間前ほどからTWICEについて熱弁していたら、メンバーの顔も名前もほとんど知らなかったルームメイトも当日チケットを買って観に行ってくれた。通っている語学学校の韓国人のクラスメイトにもライブのことを教えたら、その場で旦那さんを誘ってチケットを2枚買っていた。ルームメイトもクラスメイトも、ライブ後の数日間ずっと「ジヒョ……」と言い続けていて可笑しかった。ライブのジヒョのエネルギーは本当に凄まじくて、誰もが夢中になってしまう気持ちがよくわかる。

私はといえば、最近はすっかりジョンヨンから目が離せない。実際のところ北米での彼女の輝きはかなり話題になっており、単純な「ビジュの良さ」のみならず、ジヒョに負けず劣らずの元気とエネルギーに満ちていて、健康なのだな、と安心するし見ていて楽しい。ジヒョも親友でありながらその輝きに虜になっているようで、「私の友達がお姫様になっちゃったみたい」と言っていたのは可愛らしかった。

TWICEがこれまで提供してきたたくさんの動画の中で私が一番好きなものは、ジヒョとジョンヨン、通称UJBが釣り堀デートに行く動画である。
TWICEのメンバー同士である前に親友である二人。ドキュメンタリー映画『ONE IN A MILL10N』でも二人の関係が軸に置かれていたといっても過言ではないくらいに、長く休養せざるを得ずTWICEを続けられるかわからなかったジョンヨンと、リーダーという役割と友人関係の狭間で揺れたジヒョとの「物語」は、以前も今もこれからもTWICEの根幹にあり続けるだろう。
二人の関係において特に印象的なのは、ジョンヨンの休養中にジヒョが厳しく接してしまったことに対して、ずっとジヒョが反省し続けていることだ。ジョンヨンは、かつてのジヒョのその振る舞いを「覚えていない」という。本当かどうかはわからないし、優しさがゆえかもしれないけれど、関係なくジヒョは後悔し続けている。彼女の他に「リーダー」として、このように自省し続ける人がいるだろうか?
この動画はそんなジヒョの揺らぎを映し出しつつも、協力しながら、時に突き放しながら魚を釣る長閑な二人の姿が楽しそうでギャップに溢れる。ジョンヨンが言う、人生で本当に親しい友達が一人でもいれば成功、というのはこの動画のみならずどこかでチェヨンも言っていたと思うけれど、その言葉の真意を確かめるように互いへの尊敬と友愛を表現しようとするUJBが大好きだ。
私は、TWICEは友愛の可能性の表現だ、と捉えている。この断絶と差別と暴力に満ちた暗い世界で、悪意に満ちた投稿がSNSに氾濫する現在、かろうじて結びうる、長くて厚くて反省を伴う友愛。それを大真面目に、大袈裟に、真剣に、都合よく受け取って考えてみてもいいのではないか。
3月の中旬を過ぎても雪の降るモントリオールで、TWICEが来た喜びに浸りながら、日に日に悪くなっていく世界にうんざりしながら、一緒にライブを見た少女のことを思い出しながら、そんなことを考えていた。